AIアシスタントを社内文書に接続するには、検索から回答生成まで、各利用者が持つアクセス権を維持する必要があります。コネクターに権限を与えただけでは、すべてのフォルダーを全員が検索できるとは限りません。本人確認、対象ファイル、索引、保存、ログ、権限取り消しの担当を決めます。
文書が回答になるまでの経路を描く
文書アシスタントには、接続機能、テキスト抽出、検索またはベクトル索引、関連情報の取得、言語モデルが含まれる場合があります。RAG(検索拡張生成)では、質問時に関連箇所を取り出してモデルへ渡します。内容がモデル自体の学習知識に含まれるとは限りません。各段階に異なるアクセス範囲と保存期間があります。
- 本人確認:要求する人、サービス、所属組織を確認する。
- 情報源:使用できるリポジトリー、フォルダー、データ分類を定める。
- 索引:文書ID、版、適用権限、最終同期時刻を保持する。
- 検索:関連箇所をモデルに渡す前に、利用者の権限で絞り込む。
- 回答:参照元を示し、重要な変更や共有の前に人が確認する。
検索前に権限を適用する
モデルが文書の一部を受け取った後で権限を確認しても遅すぎます。索引内の各部分を元文書と権限情報に関連付け、サーバー側で結果を絞ってからモデルに渡します。権限を正確に同期できない場合は、アクセス確認済みの独立した文書集合に範囲を限定します。
本人確認と読み書きの権限を分ける
認証は誰が要求しているかを確認し、認可はその人がどの文書を見られるかを決めます。ブラウザーから送られたメールアドレスや役割をそのまま信頼せず、確認済みセッションやトークンから本人を特定します。専用のサービスIDと最小限の権限を使い、読み取り権限から編集、削除、共有の権限が広がらないようにします。
索引、ログ、コピーも社内データとして管理する
接続前に、プロンプト、回答、添付、抜粋、索引が保存されるか、期間や地域、管理者のアクセスを確認します。学習に使わないという説明だけでは、ログなどが保存されないとは限りません。診断ログは役立つ範囲にし、必要がなければ文書本文を丸ごと複製しません。
アクセス取り消しと悪意ある文書をテストする
アクセス変更やファイル削除後、合意した時間内に索引やキャッシュから結果が消えるか確認します。検索した文章は信頼できない入力です。文書に書かれた不正な指示がアクセス権を広げたり、外部操作を許可したりしない設計が必要です。役割の異なるアカウントと、権限のない文書で検証します。
接続前の確認項目
- 許可するフォルダーと除外する機密情報を決める。
- 許可された利用者と許可されていない利用者で検索をテストする。
- 実際に契約するプランの保存、データ利用、管理者、委託先、削除条件を確認する。
- 読み取り、変更、送信を分け、必要な場合は人の承認を必須にする。
- ファイル削除、権限変更、トークン取り消し、手作業への切り替えを試す。
OWASPのLLMセキュリティ資料とNIST AI Risk Management Frameworkは、安全性やライフサイクルの確認を整理する参考資料です。自動的な認証や、法律・契約の専門的な確認の代わりではありません。

